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政府が閣議決定した労働基準法改正案とは?男女雇用均等法と並行して進行した労働時間の規制緩和の歴史から考える

残業代支払わないことが問題!?

雇用を増やし、仕事を分担し、そして労働時間の短縮で残業なしでも生きさせる賃金が必要では?

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「使用者は、休憩時間を除いて1日8時間、週40時間(法定労働時間)を超えて働かせてはならない」と労働基準法32条にしっかりと明記されてます。、この原則は、今や絵に書いた餅状態となっています。

そもそも労働基準法32条の例外としてきた変形労働時間制も、フレックスタイム制も、労働基準法38条のみなし労働時間制も裁量労働制も、日本がILO1号条約 1日8時間の労働条約を未だに批准できない要因となっている法律で労働基準法の規制緩和政策によって法制化されたものです。

男女雇用均等法と並行して進行した労働時間の規制緩和の歴史から考える 

「使用者は、休憩時間を除いて1日8時間、週40時間(法定労働時間)を超えて働かせてはならない」と労働基準法32条にしっかりと明記されてます。、この原則は、今や絵に書いた餅状態となっています。

そもそも労働基準法32条の例外としてきた変形労働時間制も、フレックスタイム制も、労働基準法38条のみなし労働時間制も裁量労働制も、日本がILO1号条約 1日8時間の労働条約を未だに批准できない要因となっている法律で労働基準法の規制緩和政策によって法制化されたものです。

なぜこの原則が崩れたのか歴史を紐解いてみます。

1985年男女雇用均等法成立しましたが、それと引き換えに1986年労働基準法の女子保護規定が緩和されました。その内容は、女性の時間外労働1日2時間の規制の廃止、深夜勤務の例外の拡大、生理休暇の規定の縮小などでした。この当時、労働時間の規制緩和について、「平等」のために緩和すべしという意見が多数でした。男女ともに時間規制すべきという意見は少数でした。今、その後の歴史を振り返り、もう一度、この選択が正しかったのか問われています。

1987年、変形労働時間制とフレックスタイム制、みなし労働時間、裁量労働時間制度(当初5業務)注※が創設。徐々に対象業務が拡大しました。

1999年には、妊産婦以外の女性の深夜勤務、時間外労働の全面解禁で男性並に労働時間が拡大されました。このような状況下で、長時間労働は、男性のみではなく女性の一部にも拡大していきました。

現在、女性の現状は、週19時間未満の細切れ非正規雇用が拡大する一方で、週60時間働くパートタイマーが存在するという労働時間の2極化が起きています。

今回の法案では、一定以上の年収の高度専門職種の労働時間規制を無くし、裁量労働制の対象業務に営業職を入れるという内容になっています。しかし、上記の経過を見れば経団連の最終目的が、女性に多い「事務職」まで拡大したいというのが目標が理解できるのではないでしょうか?

残業がない女性には、関係ないのではなく、労働時間の原則が、どんどん崩されるものです。

 

注※裁量労働:業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなく、みなし時間によって行うことを認める制度。1987年の労基法改正により導入された際には、システムエンジニアなどの専門職にのみ適用されるものでしたが、98年の法改正により、企業の中枢部門において企画・立案・調査・分析の業務を行う一定範囲のホワイトカラー労働者を適用対象とする新たな制度が設けらた。現在、前者の制度は専門業務型裁量労働制と呼ばれ、後者は企画業務型裁量労働制と呼ばれている。(独立行政法人労働政策研究・研修機構HP参照 http://www.jil.go.jp/rodoqa/01_jikan/01-Q06.html)

 

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@厚生労働省

労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000075867.html

厚生労働省が、平成27年2月17日に、労働政策審議会(会長 樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授)に諮問した「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」について、同審議会労働条件分科会(分科会長 岩村 正彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授)と安全衛生分科会(分科会長 土橋律 東京大学大学院工学系研究科教授)で審議が行われた結果、本日、同審議会から塩崎 恭久厚生労働大臣に対して別添のとおり答申が行われました。

厚生労働省では、この答申を踏まえて法律案を作成し、今通常国会への提出の準備を進めます。

 

【法律案要綱のポイント】

1.中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止

・  月60時間を超える時間外労働に関する割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。(平成31年4月1日施行)

 

2.健康確保のために時間外労働に対する指導の強化

・  時間外労働に関する行政官庁の助言指導に当たり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨を規定する。

 

3.年次有給休暇の取得促進

・  使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。ただし、労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については時季の指定は要しないこととする。

4.フレックスタイム制の見直し

・  フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長する。併せて、1か月当たりの労働時間が過重にならないよう、1週平均50時間を超える労働時間については、当該月における割増賃金の支払い対象とする。

 

5.企画業務型裁量労働制の見直し

・  企画業務型裁量労働制の対象業務に「事業運営に関する事項について企画、立案調査及び分析を行い、その成果を活用して裁量的にPDCAを回す業務」と「課題解決型提案営業」とを追加するとともに、対象者の健康・福祉確保措置の充実等の見直しを行う。

 

6.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

・  職務の範囲が明確で一定の年収要件(少なくとも1,000万円以上)を満たす労働者が、高度な専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議などを要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。

・  制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その労働者に対し、必ず医師による面接指導を実施しなければならないこととする(労働安全衛生法の改正)。

 

7.企業単位での労使の自主的な取組の促進

・  企業単位での労働時間等の設定改善に関する労使の取組を促進するため、企業全体を通じて設置する労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に関する労使協定に代えることができることとする(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正)。

※ 施行期日:1について平成31年4月1日、他は平成28年4月1日

 

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