厚生労働省記者会 および 報道各社 御中
働く女性の全国センター(ACW2)
2017年4月25日
私たち「働く女性の全国センター(ACW2)」は2007年の発足からこれまで、「働く女性のホットライン」を継続して実施し、3500件以上の相談を受けてきました。
現在、安倍内閣では「働き方改革」の議論が進んでいますが、私たちが10年間にわたる相談活動で聞いてきた女性たちの声をもとに、1年以上をかけてまとめた提言「週3日の賃労働で誰もが生きられる社会を」をこのたび発表します。
(資料: 「ホットライン10年目レポート201704」
総務省統計局資料より作成、労働時間の就業者数 (女) (男)
私たちはなぜ「週3日の賃労働でだれもが生きられる社会」を求めているのか。それは「はたらく」を賃労働だけではなく、家事・育児・介護・セルフケアなどさまざまなケア労働を含む「命を支える」活動であるとの考え方に立ち、全ての人の生存権の問題だととらえているからです。
私たちは週3日程度の賃労働と社会保障で誰もが生きられる社会について提言します。
◆
「扶養されているから」「彼女たちが選んだから」という言い訳で日本型の細切れ雇用(兼業・副業を含む)の現状を覆い隠してはならない。
私たちは要求する。
私たちは「家族間の扶養」があろうとなかろうと、短時間労働であろうとも、なお安心して生きていけるようになりたい。
最低賃金は、例外なく生存権を保障するものでなければならない。
「障がい者」や「高齢者」の雇用を促進している現在、最低賃金の例外規定は、撤廃するべきである。障がい者作業所の賃金ではそれこそ自立生活は不可能である。私たちはどのような立場であれ、まず生活できることを前提とした「働く」を求めている。
厚生労働省は、女性の非正規就労を「自発的」か「非自発的」であるかと分けてとらえている。しかし、非正規就労を自発的に選んでいようといまいと等しく「生存権」は保障されなくてはならない。
「一億総活躍社会」「女性活躍推進」に入らない女たちの「働く」から私たちは出発する。女性活躍推進法は、従業員301人以上の企業に雇用されている女性、しかも正社員にしか適用されない。管理職を増やし、育児休業取得率を増やすという。女性労働者の過半数を占める非正規就労で働く女性たちにとっては、無関係な法律となっている。
パートで働く場合は、パートのまま柔軟な働き方で「活躍」できるなどと言っている。しかし、その実態は低賃金で、短時間労働で、しかも責任の重い基幹的な仕事を担わされるということにほかならない。具体的にはどういうことか?
まず、週35時間未満の女性短時間雇用者人口は、2007年から2015年の8年間に1,119万人から1,273万人へと154万人増加した。週3日か4日以下しか働いていない「細切れ雇用」が増大しているのが現状である(ダブルワーカーを含む)。しかも、雇用保険・社会保険が適用されない週20時間未満の労働者が増えている。このことは総務省の統計からも、私たち「働く女性のホットライン」の相談実態からも明らかな事実である。
細切れ雇用とは、企業側にとっては「必要な時間に必要な人を無駄なく確保し、使い勝手よく安く使う」、働く側にとっては「一つの職場では、一人では生存できない」雇用である。これが、女性が望む、望まないにかかわらず、増大しているのである。
細切れ雇用の実態が進む中で、私たちは「週3日労働で生きられる社会」を模索せざるを得ない。
いっぽう、企業のグローバル化の流れの中で、週休3日制度や1日6時間制度が現実化され始めている。そのこと自体は、否定はしない。しかし、それと同時に第3次産業革命と言われる時代において、一人の想定外も生み出さずに生身の人間に対する生存権が保障される社会が作られなければ、社会の不安は広がる一方である。
私たちの望む働き方は、政府のいう「働き方改革」とは異なるものである。そもそも、「政労使の話し合い」の中に女性労働当事者の声が入っていない。その時点で、すでに私たちの声はないものとなっているのだ。
今後さらに要求を整理していくが、現段階で私たちは以下の要求を掲げる。
|
以上の提言について、多くの方たちと対話を広げていきたいと考えています。
メディアの皆様に、ご協力頂ければ幸いです。
Tweet